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平成時代1990年代半ば〜2010年代文化重要度 A

インターネット・携帯電話とIT政策―情報化は生活・経済・行政をどう変えたのかいんたーねっとけいたいでんわとあいてぃーせいさく じょうほうかはせいかつけいざいぎょうせいをどうかえたのか

一言でいうと

平成期には、インターネットと携帯電話が研究機関や企業の専門的な通信手段から、日常生活を支える社会基盤へ変化しました。1990年代半ば以降、家庭や職場でインターネット利用が広がり、携帯電話も急速に普及します。総務省の長期整理では、携帯電話契約数は2000年に固定電話の契約数を上回り、その後はメールやウェブ閲覧など通話以外の機能も生活へ浸透しました。政府も情報化を民間任せにはせず、2000年に高度情報通信ネットワーク社会形成基本法、いわゆるIT基本法を制定し、2001年にはe-Japan戦略を決定しました。そこでは高速・超高速ネットワークの整備、電子商取引、電子政府、人材育成などが国家戦略として掲げられました。企業ではオンライン取引やネット広告、検索・配信など新しいサービスが成長し、行政でも申請・情報公開・調達などを電子化する動きが進みます。2000年代後半から2010年代にはスマートフォンとSNSが普及し、個人が常時接続しながら情報を受け取り、発信する環境が一般化しました。ただし、情報化は全国・全年齢層で同じ速度で進んだわけではなく、年齢、地域、所得、利用能力などによるデジタル格差や、個人情報、セキュリティ、偽情報など新しい課題も生みました。平成期の情報化は、新しい機器が増えただけでなく、生活・企業活動・行政サービスの前提を『ネットワークにつながること』へ変えていった社会構造の転換として理解する必要があります。

なぜ1990年代半ばからインターネットと携帯電話が急速に普及したのか

1990年代半ば、日本では商用インターネット接続サービスや家庭向けパソコン通信・インターネット利用が広がり、企業や大学だけでなく一般家庭でも電子メールやウェブサイトを使う機会が増えました。同じ時期、携帯電話は端末の小型化、料金体系や販売制度の変化、通信網の整備によって利用者を増やしていきます。

総務省の情報通信白書による長期整理では、固定電話の契約数が1996年から減少傾向へ転じる一方、携帯電話契約数は増え続け、2000年には固定電話を上回りました。これは通信の中心が『場所に備え付けられた電話』から『個人が持ち歩く端末』へ移る大きな転換でした。

ただし、インターネットも携帯電話も一斉に全国へ普及したわけではありません。家庭の所得、地域の通信環境、年齢、パソコン操作への慣れなどによって利用には差があり、情報化の進行と同時に利用機会の格差も政策課題となりました。

平成期の情報化では、通信の単位が『家庭・職場の固定回線』から『個人が常時持つ端末』へ移ったことが重要です。

携帯電話は、なぜ『電話』から情報端末へ変わったのか

1990年代後半から2000年代にかけて、携帯電話には電子メールやウェブ閲覧などインターネット接続機能が組み込まれました。日本では携帯電話向けインターネットサービスが早くから普及し、連絡手段だけでなく、ニュース、天気、検索、音楽、ゲーム、買い物など日常的な情報利用の入口になっていきます。

この変化は、家庭のパソコンの前に座らなくてもネットワークへ接続できることを意味しました。通信と情報サービスが同じ携帯端末に集約されることで、待ち合わせ、仕事上の連絡、消費、娯楽など日常行動の時間感覚も変わっていきます。

2000年代後半以降はスマートフォンが普及し、パソコン向けに近いウェブ閲覧、アプリ、位置情報、写真・動画共有などが携帯端末で行えるようになりました。携帯電話の普及とスマートフォンの普及は連続していますが、同一の段階ではありません。

2000年IT基本法と2001年e-Japan戦略は、なぜ必要とされたのか

政府は、情報通信技術の普及を個々の企業や家庭の選択だけに任せるのではなく、経済・行政・教育・地域社会を含む国家的な課題として扱うようになりました。2000年11月に成立した高度情報通信ネットワーク社会形成基本法は、情報通信技術を利用して多様な情報・知識を入手・共有・発信できる社会の形成を目的としました。

同法は、すべての国民がITの恩恵を受けられる社会、産業競争力の強化、地域社会の活性化などを基本理念に掲げ、利用機会や能力の格差を是正することも政策課題としました。また、民間が主導的役割を担うことを原則とし、政府は競争環境や制度、基盤整備を支える役割を担うと整理しました。

2001年1月にはe-Japan戦略が決定され、高速・超高速のインターネット環境、電子商取引、電子政府、人材育成を重点分野として整備する方針が示されました。これは政府が自らインターネットサービスを一元的に提供する計画ではなく、民間の通信・サービス競争を促しながら、制度と公共部門の電子化を進める国家戦略でした。

IT基本法とe-Japan戦略は、情報化を通信機器の普及だけでなく、経済構造・行政サービス・地域・人材を含む政策課題として位置づけました。

インターネットは企業活動と消費をどう変えたのか

企業はインターネットを、社内外の通信だけでなく販売、広告、調達、顧客対応の基盤として利用するようになりました。ウェブサイトを通じた商品・サービスの販売、企業間の電子取引、ネット広告などが広がり、店舗や紙媒体だけに依存しない取引が増えていきます。

消費者にとっても、価格や商品情報を比較し、時間や場所に左右されず注文できることは大きな変化でした。一方、相手の顔が見えない取引が増えたことで、個人情報保護、本人確認、不正アクセス、詐欺、著作権など、従来とは異なる制度的・社会的課題も重要になりました。

情報通信産業だけが変わったわけではありません。流通、金融、旅行、音楽・映像、新聞・出版など幅広い分野で、ネットワークを前提にした業務やサービスが増え、既存産業の競争環境も変化しました。

行政のデジタル化は、どのようなサービスを目指したのか

e-Japan戦略では電子政府・電子自治体も重点分野となりました。行政機関が情報をウェブで公開するだけでなく、申請・届出、調達、文書交換などの手続をオンライン化し、国民や企業の負担を減らすことが目標とされました。

行政デジタル化には、窓口へ行かず手続できる利便性だけでなく、行政内部で情報を共有し、処理を効率化する狙いもありました。しかし、省庁や自治体ごとのシステム、本人確認、標準化、セキュリティ、紙手続との併存などの問題があり、インフラが整えば行政サービスが自動的にデジタル化するわけではありませんでした。

平成後半まで政府のIT戦略は繰り返し更新され、政策の重点も『通信網を整えること』から『医療・行政・産業などでITを実際に使うこと』へ移っていきました。この積み重ねは令和のデジタル政府政策へ接続していきます。

スマートフォンとSNSの普及は、情報の受け手と発信者の関係をどう変えたのか

2000年代後半から2010年代にはスマートフォンが急速に普及し、インターネットは『家や職場で使うもの』から、外出先でも常時接続するものへ変わりました。SNSや動画投稿サービスの普及によって、個人がニュースや意見、写真、動画を大量の相手へ発信することも容易になります。

その結果、情報発信は新聞社・放送局・出版社・企業などの組織だけが担うものではなくなりました。災害時の情報共有、趣味や地域のつながり、新しい広告・販売などの可能性が広がった一方、個人情報の拡散、誹謗中傷、偽情報、過度な依存などの問題も目立つようになります。

また、利用率が上がっても、端末を持つことと情報を安全・適切に活用できることは同じではありません。平成期の情報化は利便性を大きく高めると同時に、利用能力や安全性を含む新しい意味でのデジタル格差を生み続けました。

Review

入試で押さえるポイント

  • 1990年代半ば以降にインターネットと携帯電話が急速に普及し、携帯電話契約数は2000年に固定電話契約数を上回ったこと
  • 2000年の高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)が、IT政策の基本理念・国と地方公共団体の責務・IT戦略本部などを定めたこと
  • IT基本法が民間主導を原則としつつ、利用機会等の格差是正も政策課題に位置づけたこと
  • 2001年のe-Japan戦略が、通信インフラ、電子商取引、電子政府、人材育成を重点分野としたこと
  • 2000年代後半〜2010年代のスマートフォン・SNS普及により、個人が常時接続し、情報の受信だけでなく発信も行う環境が一般化したこと
  • 情報化は利便性と新産業を生む一方、デジタル格差、個人情報、セキュリティ、偽情報など新しい課題も生んだこと

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  1. 問1

    日本では携帯電話の契約数が増え、2000年には固定電話の契約数を上回った。

  2. 問2

    1990年代後半の携帯電話普及と2000年代後半以降のスマートフォン普及は、機能や利用形態がほぼ同じ一つの段階だった。

  3. 問3

    IT基本法とe-Japan戦略は、政府がインターネットサービスを一元的に提供し、民間企業の役割を縮小することを基本方針とした。

  4. 問4

    2001年のe-Japan戦略では、高速ネットワーク、電子商取引、電子政府、人材育成などが重点分野とされた。

  5. 問5

    高速通信網が整えば、本人確認や標準化、セキュリティなどの課題とは無関係に、行政手続は自動的にデジタル化された。

Timeline

関連する年表

前後の出来事とつなげて位置を確認できます。

  1. インターネットと携帯電話が急速に普及する
  2. IT基本法が成立する
  3. e-Japan戦略が策定される
  4. スマートフォンとSNSの普及が進み情報流通や生活様式が変化する

Sources

参考資料

  1. 令和3年版 情報通信白書 第1部 第2節 通信インフラ総務省

    固定電話と携帯電話の長期的な契約数推移、2000年に携帯電話契約数が固定電話を上回ったこと、携帯端末のネット接続機能の発展を確認

  2. 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(平成12年法律第144号)e-Gov法令検索

    IT基本法の目的、定義、国民がITの恩恵を享受できる社会、民間主導、利用機会等の格差是正、国・地方公共団体の責務を確認

  3. e-Japan戦略についての内閣総理大臣メッセージ首相官邸

    2001年1月22日のe-Japan戦略決定と、IT活用を国民生活・国際競争力向上へ結びつける政策目的を確認

  4. IT戦略本部関係資料―政府の情報通信技術(IT)戦略の推移首相官邸

    e-Japan戦略の重点がブロードバンド、電子商取引、電子政府、人材育成に置かれ、その後IT利活用へ政策重点が移ったことを確認