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令和時代2020〜2024年社会・経済重要度 A

GIGAスクール・テレワークとデジタル庁―コロナ禍は日本のデジタル化をどう加速したのかぎがすくーる てれわーくとでじたるちょう ころなかはにほんのでじたるかをどうかそくしたのか

一言でいうと

日本では新型コロナ流行以前から、学校ICT、テレワーク、行政手続のオンライン化、マイナンバー制度などのデジタル化が進められていました。しかし2020年の感染症危機は、対面を前提としていた教育・職場・行政サービスの弱点を一度に表面化させ、既存の計画を前倒ししたり、新たな制度・組織を整えたりする契機になりました。学校ではGIGAスクール構想による1人1台端末の整備が加速し、企業では緊急事態宣言を契機にテレワークが急増しました。行政では給付や感染症対応を通じて国・自治体の情報システムやオンライン手続の課題が意識され、2021年9月1日にデジタル庁が発足します。その後、マイナンバーカードの健康保険証利用や行政手続のオンライン化など、共通のデジタル基盤を利用する政策が拡大しました。令和のデジタル化は、コロナ禍によって突然始まったのではなく、それ以前からの政策が危機を契機に加速し、教育・働き方・行政を横断する社会基盤として再編された過程として理解する必要があります。

コロナ禍の前、日本のデジタル化はどこまで進んでいたのか

2020年以前にも、日本でデジタル化が行われていなかったわけではありません。行政では2000年代から電子政府・オンライン手続が進められ、2016年にはマイナンバー制度の運用が本格化しました。企業でも働き方改革の一環としてテレワークが推進され、学校ではICT環境整備やデジタル教材の活用が進められていました。

GIGAスクール構想もコロナ禍以前の2019年に始まった政策です。文部科学省は児童生徒1人1台の端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、個別最適化された学びや協働的な学びを実現する構想を示しました。したがって、2020年をデジタル化の出発点とするのではなく、すでに存在した政策が感染症危機によって急速な実装を迫られたと捉えることが重要です。

コロナ禍は日本のデジタル化をゼロから始めたのではなく、既存の政策・技術の導入を前倒しし、社会全体での利用を急拡大させました。

GIGAスクール構想は、なぜ2020年に急速に進んだのか

2020年春、全国的な学校休業によって、登校できない児童生徒の学習をどのように継続するかが大きな課題になりました。オンライン授業や教材配信を行おうとしても、家庭や自治体によって端末・通信環境に差があり、学校教育が対面授業に強く依存していたことが明らかになりました。

政府は2019年度補正予算で始めたGIGAスクール構想について、2020年度補正予算を通じて端末整備を前倒ししました。文部科学省は小中学校を中心に1人1台端末と校内通信環境の整備を進め、2020〜2021年に全国で端末配備が急速に進みました。

ただし、端末を配れば教育のデジタル化が完了するわけではありません。通信環境、教員の活用力、教材、家庭環境、故障時の対応など新たな課題も生じました。GIGAスクール構想は『機器の配布』ではなく、学校教育の学習基盤をデジタル環境へ広げる長期的な制度変化として見る必要があります。

テレワークは、なぜ感染症対策から働き方の選択肢へ広がったのか

テレワークも感染症流行前から働き方改革の一環として推進されていましたが、利用は限られていました。内閣府の調査では、就業者のテレワーク実施率は2019年12月の全国10.3%から、最初の緊急事態宣言期にあたる2020年5月には27.7%へ上昇しています。特に東京都23区では17.8%から48.4%へ大きく伸びました。

この急増は、感染を避けるため出勤者を減らす必要が生じたことによるものでした。企業はオンライン会議、クラウドサービス、電子的な文書処理などを急速に導入し、従来は職場に出なければ難しいと考えられていた業務の一部を遠隔で行うようになりました。

一方で、業種・職種や地域によってテレワークの利用可能性には大きな差がありました。医療、介護、物流、製造、接客など現場での勤務が不可欠な仕事も多く、デジタル化がすべての労働者に同じ形で広がったわけではありません。令和の働き方の変化は、利用拡大と格差の両方を含めて見る必要があります。

テレワークはコロナ禍で急増しましたが、職種や地域による差が大きく、社会全体が一様に在宅勤務へ移行したわけではありません。

なぜ2021年にデジタル庁が新設されたのか

感染症対応では、給付、検査・接種、自治体との情報共有などを通じて、国や自治体の情報システムが統一されていないこと、手続に紙や対面を必要とする場面が残っていること、データ連携が十分でないことなどが改めて問題となりました。デジタル庁自身も、2020年の新型コロナ対応で行政のデジタル化の遅れやシステム連携の弱さ、給付の遅れなどが明らかになったことを、設立の背景として説明しています。

2021年にはデジタル社会形成基本法、デジタル庁設置法などのデジタル改革関連法が成立し、9月1日にデジタル庁が発足しました。府省庁ごとに分かれていたデジタル政策を横断的に進め、国・自治体の情報システム、行政サービス、データ基盤などを整備する『司令塔』として位置づけられました。

ここで重要なのは、デジタル庁が単に新しいITシステムを作る役所ではないことです。行政組織の縦割りを越えて共通基盤を整え、手続やサービスの設計そのものを見直すことが役割とされました。感染症危機で見えた制度上の課題が、新たな中央行政組織の創設へ結び付いた点が令和初期の特徴です。

デジタル庁発足後、行政サービスのデジタル化はどう広がったのか

デジタル庁発足後は、マイナンバーカード、マイナポータル、ガバメントクラウド、自治体システム標準化などを通じて、行政サービスの共通基盤を整える政策が進められました。2021年10月にはマイナンバーカードの健康保険証としての本格利用が始まり、オンラインで本人確認や各種手続を行う場面も拡大していきます。

ただし、デジタル化には利便性だけでなく、個人情報保護、システム障害、誤登録、デジタル機器を使いにくい人への支援などの課題も伴います。制度をオンライン化するだけで誰もが同じように利用できるとは限らないため、対面支援や安全性の確保も政策の一部になります。

2024年ごろまでを見ると、令和のデジタル化は教育、働き方、行政サービスがそれぞれ別々にオンライン化しただけではなく、本人確認、クラウド、データ連携などの共通基盤を社会全体でどう整えるかという段階へ進んだと整理できます。

このページで覚えたい流れ

2019年以前から学校ICT・テレワーク・電子行政を推進 → 2020年のコロナ禍で対面依存の課題が表面化 → GIGAスクールの1人1台端末整備とテレワーク利用が急拡大 → 行政システム・オンライン手続の課題も顕在化 → 2021年9月にデジタル庁発足 → マイナンバーカードや共通デジタル基盤の利用拡大、という流れで整理します。

令和のデジタル化は、コロナ以前の政策を基礎に、感染症危機を契機として教育・働き方・行政を横断する社会基盤へ急速に広がった過程です。

Review

入試で押さえるポイント

  • GIGAスクール構想はコロナ禍以前の2019年に始まり、2020年度に1人1台端末整備が前倒しされた
  • テレワーク実施率は感染症流行と最初の緊急事態宣言を契機に2020年に急上昇した
  • デジタル改革関連法を受け、デジタル庁は2021年9月1日に発足した
  • デジタル庁は府省庁横断で行政のデジタル化と共通基盤整備を進める司令塔として設置された
  • マイナンバーカードの健康保険証利用など行政サービスのデジタル化が発足後に拡大した
  • 令和のデジタル化をコロナ禍から突然始まった変化とは捉えず、既存政策の加速として理解する

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0 / 5 問回答

  1. 問1

    GIGAスクール構想やテレワーク、行政のオンライン化は2020年のコロナ禍で初めて始まり、それ以前には政策として存在していなかった。

  2. 問2

    GIGAスクール構想は1人1台端末を配れば完了する政策ではなく、通信環境や教材、教員の活用力なども含めた学習基盤の整備だった。

  3. 問3

    コロナ禍ではテレワークが急増したが、医療・介護・物流・製造・接客など現場勤務が必要な仕事も多く、すべての職種へ同じように広がったわけではない。

  4. 問4

    2021年に発足したデジタル庁の役割は、新しいITシステムを自ら開発することだけに限定され、府省庁横断の政策調整や共通基盤整備は対象外だった。

  5. 問5

    行政サービスのデジタル化が進めば、個人情報保護や誤登録、デジタル機器を使いにくい人への支援といった課題は生じなくなる。

Timeline

関連する年表

前後の出来事とつなげて位置を確認できます。

  1. GIGAスクール構想により小中学校で1人1台端末の整備が進む
  2. 感染症対策を契機にテレワークやオンラインサービスの利用が急速に広がる
  3. デジタル庁が発足する

Sources

参考資料

  1. GIGAスクール構想について文部科学省

    1人1台端末と高速大容量通信ネットワークを一体的に整備するGIGAスクール構想を確認

  2. 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査内閣府

    2020年のテレワーク実施率の変化を確認

  3. 組織を知るデジタル庁

    新型コロナ対応で明らかになった行政デジタル化の課題と2021年9月1日のデジタル庁発足を確認

  4. デジタル庁設立1年の活動報告デジタル庁

    マイナンバーカードの健康保険証利用開始など発足後の主要施策を確認

  5. 第204回 通常国会 提出法案内閣官房

    デジタル社会形成基本法案・デジタル庁設置法案などデジタル改革関連法の構成を確認