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令和時代2021〜2023年社会・経済重要度 A

ワクチン接種・入国制限緩和と5類移行―新型コロナ対応はどう平時化されたのかわくちんせっしゅ にゅうこくせいげんかんわとごるいいこう しんがたころなたいおうはどうへいじかされたのか

一言でいうと

2020年に緊急事態宣言や大規模な行動自粛で対応した新型コロナ政策は、2021年以降、ワクチン接種の普及、治療・検査体制の蓄積、水際対策の段階的な緩和を経て、日常の制度へ組み込む方向へ変化しました。日本では2021年2月17日に医療従事者への先行接種から新型コロナワクチン接種が始まり、その後、高齢者や一般の人々へ対象が広がりました。感染の波や新たな変異株は続きましたが、政策は社会活動を広く止める対応だけでなく、ワクチン、医療、検査を組み合わせながら活動を維持する方向へ移っていきます。水際対策も2022年に段階的に緩和され、10月11日には外国人観光客のパッケージツアー限定、査証免除の停止、入国者総数の上限などが大きく見直されました。2023年5月8日には新型コロナの感染症法上の位置づけが『新型インフルエンザ等感染症』から『5類感染症』へ移り、陽性者・濃厚接触者への法律に基づく外出自粛や、行政が一律に感染対策を求める仕組みは終了しました。ただし5類移行は感染症そのものの消滅を意味しません。行政による特別措置を中心とした対応から、通常の医療制度と個人の判断を基礎にした対応へ重点が移ったことが重要です。

ワクチン接種の開始は、感染症対応に何を加えたのか

2021年2月17日、東京都の国立病院機構東京医療センターで医療従事者への新型コロナワクチンの先行接種が始まりました。厚生労働省はこれを国内初の接種としています。初期には接種後の安全性情報を集めながら医療従事者への接種を進め、その後、高齢者、基礎疾患のある人、一般の人々へ対象を広げました。

ワクチンの導入によって、感染症対策は人と人との接触を減らすことだけではなく、接種によって発症や重症化のリスクを下げることを目指す手段を持つようになりました。一方、接種が進んだ後も感染は続き、新たな変異株も現れました。ワクチン接種の開始を、その時点で流行が終わった出来事として扱うことはできません。

接種には国、自治体、医療機関が関わり、予約、接種会場、ワクチン配送、副反応への対応など新たな行政実務も必要になりました。感染症危機への対応が、緊急の行動制限から長期的な予防接種・医療体制の運営へ広がったことが重要です。

2021年2月17日の国内接種開始は、行動制限中心だった対応にワクチンという予防手段を加えた転換点です。

なぜワクチン接種が始まっても、すぐに平常化しなかったのか

2021年にはワクチン接種が進む一方で、感染者の増加や医療提供体制への負荷に応じて緊急事態宣言やまん延防止等重点措置も使われました。感染対策は、接種さえ進めれば他の措置が不要になるという単純なものではありませんでした。

政策の重心は徐々に、社会活動を一律に抑えることから、重症化リスクの高い人を守り、医療提供体制を維持しながら経済・教育・移動を継続することへ移りました。感染状況、変異株、ワクチンの普及、医療体制など複数の条件を見ながら措置を調整する段階へ入ったのです。

このTopicでは感染者数の波を一つずつ追うのではなく、危機対応の手段が『広い行動制限』だけではなくなり、通常の社会活動との両立を模索する制度へ変わった過程を見ます。

2022年10月の水際対策緩和は、国際移動をどう変えたのか

感染拡大初期、日本は外国人の新規入国や国際移動を大きく制限し、入国者数の上限、査証、検査、待機などを組み合わせた水際対策を実施しました。2022年には感染状況と社会経済活動の両立を図りながら、これらの措置が段階的に緩和されていきます。

10月11日には大きな見直しが行われました。外国人観光客をパッケージツアーに限定する措置が解除され、対象国・地域への査証免除措置が再開され、1日あたりの入国者総数の上限も撤廃されました。また、感染が疑われる症状がある人などを除き、入国時検査と入国後待機は原則としてなくなりました。

ただし、この時点で水際対策がすべて消えたわけではありません。入国・帰国者には一定のワクチン接種証明または出国前検査の陰性証明が求められました。2022年10月の転換は、国際移動を全面的に閉じる発想から、条件を付けながら通常の観光・往来を再開する方向へ進んだことに意味があります。

2022年10月11日の水際対策緩和では、個人観光の再開、査証免除の再開、入国者総数上限の撤廃などが進みました。

2023年5月8日の5類移行で、何が制度上変わったのか

2023年5月8日、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけは、それまでの『新型インフルエンザ等感染症』から『5類感染症』へ変更されました。厚生労働省は、この変更を、法律に基づいて行政がさまざまな要請・関与を行う仕組みから、個人の選択を尊重した自主的な対応を基本とする仕組みへの転換と説明しています。

移行後は、新型コロナ陽性者や濃厚接触者に感染症法に基づく外出自粛を求める仕組みがなくなりました。また、保健所が一般に濃厚接触者を特定する運用も行われなくなり、幅広い医療機関で受診できる体制へ移行していきました。医療費についても健康保険による自己負担を基本としつつ、一定期間は公費支援が続けられました。

一方、5類移行は『新型コロナがなくなった』ことを意味しません。厚生労働省は移行後も、発症後の一定期間は外出を控えることを推奨し、高齢者など重症化リスクが高い人への配慮を求めています。変わったのは感染症そのものの存在ではなく、法律上の位置づけと行政の関与の仕方です。

5類移行は感染症の消滅ではなく、法律に基づく一律の行動制限から、通常の医療と個人の判断を基礎とする対応への制度転換です。

新型コロナ対応の『平時化』とは、元に戻ることだったのか

2021〜2023年の変化を『コロナ前へ完全に戻った』と理解すると、政策の変化を見誤ります。ワクチン接種、感染症の監視、医療機関での対応、重症化リスクの高い人への配慮などは5類移行後も続きました。

変化したのは、社会全体を特別措置で広く制約する危機対応から、感染症を通常の制度の中で継続的に管理する対応へ重点が移ったことです。国際移動も、厳しい水際措置から通常の観光・往来へ段階的に戻されました。

したがって『平時化』とは、感染症の危険がゼロになったことではなく、行政・医療・市民が新型コロナの存在を前提にしながら、特別な危機制度への依存を縮小した過程として捉える必要があります。

このページで覚えたい流れ

2021年2月に国内ワクチン接種開始 → 接種拡大と感染の波への対応を並行 → 2022年に水際対策を段階的に緩和 → 10月11日に個人観光・査証免除・入国上限などを大幅に見直し → 2023年5月8日に5類感染症へ移行 → 法律に基づく一律の行動制限から通常の医療・自主的対応へ重点移行、という流れで整理します。

2021〜2023年は、感染症が消えた時期ではなく、緊急措置中心の対応を通常制度へ段階的に移した時期です。

Review

入試で押さえるポイント

  • 国内の新型コロナワクチン接種は2021年2月17日に医療従事者への先行接種から始まった
  • ワクチン接種開始後も感染の波や変異株への対応が続き、ただちに行動制限がなくなったわけではない
  • 2022年10月11日に外国人の個人観光再開、査証免除再開、入国者総数上限撤廃など水際対策が大幅に緩和された
  • 2023年5月8日に新型コロナは感染症法上の5類感染症へ移行した
  • 5類移行後は陽性者・濃厚接触者に法律に基づく外出自粛を求める仕組みがなくなった
  • 5類移行は新型コロナの消滅ではなく行政関与と医療・社会対応の制度変更

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  1. 問1

    2021年2月に国内でワクチン接種が始まると、感染の波や変異株への対応は不要になり、行動制限もただちに終了した。

  2. 問2

    2021年以降の新型コロナ政策は、社会活動を一律に止める対応だけでなく、ワクチン・医療・検査を組み合わせながら活動を維持する方向へ徐々に移った。

  3. 問3

    2022年10月11日の水際対策緩和で、個人観光や査証免除は再開されたが、すべての入国条件がその日に完全撤廃されたわけではなかった。

  4. 問4

    2023年5月8日の5類移行は、新型コロナウイルスが消滅したため感染症対策そのものを終了したことを意味する。

  5. 問5

    新型コロナ対応の『平時化』とは、特別な危機制度への依存を縮小し、通常の医療制度や個人の判断を基礎とする対応へ重点を移す過程だった。

Timeline

関連する年表

前後の出来事とつなげて位置を確認できます。

  1. 日本で新型コロナウイルスワクチンの接種が始まる
  2. 新型コロナウイルス対策の入国制限が大幅に緩和される
  3. 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類へ移行する

Sources

参考資料

  1. フォトレポート(新型コロナウイルス感染症のワクチン接種開始)厚生労働省

    2021年2月17日の国内初のワクチン接種開始を確認

  2. 10月11日からの日本における新型コロナウイルス感染症に関する新たな水際対策措置外務省

    2022年10月11日の観光・査証・入国上限・検査待機等の見直しを確認

  3. 外交青書 2023 第4章第1節 日本の成長と外国人材の受入れ外務省

    2022年の水際対策の段階的緩和と10月11日の個人観光等再開を確認

  4. 新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について厚生労働省

    2023年5月8日の5類移行と行政・外出自粛・医療体制の変更点を確認