旧石器時代の石器
一言でいうと
旧石器時代の人々は、石を用途に合わせて加工し、狩猟などに利用しました。石器の形や製作技術の変化から、人々の技術や生活の変化を知ることができます。
石器から旧石器時代を知る
旧石器時代には文字による記録がないため、石器は当時の人々の生活を知る重要な資料です。
石器を調べることで、石をどのように加工したのか、どのような道具として利用したのか、どこから石材を入手したのかなどを考えることができます。
また、異なる時期の石器を比較すると、旧石器時代の長い時間の中で、石器をつくる技術が変化していったことも分かります。
日本列島で確認される旧石器時代の石器文化の中心は、考古学上「後期旧石器時代」と呼ばれる時期にあたります。このページでは、初学者が流れをつかみやすいよう、原則として「旧石器時代」と表記します。
旧石器時代前半―局部磨製石斧
局部磨製石斧は、日本列島の旧石器時代の早い段階から見られる石器です。
石を打ち欠いて形を整えたあと、刃の部分など一部を磨いて仕上げています。「局部磨製」という名前は、石器全体ではなく一部分を磨いていることを表します。
ここで重要なのは、「旧石器時代=打製石器だけ、縄文時代=磨製石器」ではないということです。
日本列島では、旧石器時代にも一部を磨いた石器が使われていました。
画像で見る:国立歴史民俗博物館「局部磨製石斧」
ナイフ形石器
ナイフ形石器は、日本列島の旧石器時代を代表する石器の一つです。
石を割ってできた鋭い剥片を素材とし、刃として使う部分を残しながら、それ以外の部分を加工して形を整えました。
「ナイフ形」という名前ですが、現在のナイフと同じ用途だけに使われたわけではありません。切る道具としてだけでなく、槍の穂先として使われた可能性も考えられています。
そのため、石器の名前だけから用途を一つに決めつけないことも大切です。
画像で見る:文化遺産オンライン「ナイフ形石器」
旧石器時代後半―槍先形尖頭器
旧石器時代後半には、槍先形尖頭器が使われました。
名前の通り、槍の先端に取り付けて狩猟に利用した石器です。
表と裏の両面を加工して先端を尖らせ、左右対称に近い形へ丁寧に整えたものがあります。
黒曜石など遠く離れた場所で採れる石材を使った例もあり、石器は狩猟技術だけでなく、当時の人々が広い範囲を移動していたことを考える手がかりにもなります。
画像で見る:文化遺産オンライン「槍先形尖頭器」
旧石器時代末期―細石刃
旧石器時代の終わりごろには、細石刃が使われるようになります。
細石刃は、小さく細長い石の刃です。
一本をそのまま大きな道具として使うのではなく、骨や角などでつくった軸の溝に複数の細石刃をはめ込み、槍などの一部として利用したと考えられています。
刃の一部が壊れても、その部分だけを交換できます。
一つの大きな石器を使う道具から、小さな石刃を部品として組み合わせる道具へという新しい仕組みが使われるようになったと考えると分かりやすいです。
画像で見る:文化遺産オンライン「細石刃」
石器は単純に交替したわけではない
旧石器時代の石器について、大きな流れを整理すると、局部磨製石斧 → ナイフ形石器 → 槍先形尖頭器 → 細石刃と捉えることができます。
ただし、これは暗記しやすくするための大まかな流れです。
ある石器が消えた瞬間に、次の石器へ全国一斉に切り替わったわけではありません。地域によって使われる石器や変化の時期には違いがあり、複数の種類が並行して使われることもありました。
石器の変化は、日本列島全体で起きた単純な技術の交替ではなく、地域差を伴った長期的な変化として理解することが重要です。
このページで覚えたい流れ
局部磨製石斧 → ナイフ形石器 → 槍先形尖頭器 → 細石刃
ただし、この順番だけを暗記することが目的ではありません。
旧石器時代の人々は長い期間にわたって同じ道具を使い続けたのではなく、狩猟や生活に合わせて石器をつくる技術を変化させていったと理解することが大切です。
Review
入試で押さえるポイント
- 局部磨製石斧は旧石器時代の早い段階から見られ、旧石器時代にも一部を磨いた石器が存在する
- ナイフ形石器は日本列島の旧石器時代を代表する石器
- 旧石器時代後半には槍先形尖頭器が使われる
- 旧石器時代末期には、小さな石刃を部品として組み合わせる細石刃が使われる
- 石器の変化には地域差があり、全国一律に単純交替したわけではない
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0 / 5 問回答
- 問1
局部磨製石斧が使われたことから、旧石器時代にも一部を磨いて仕上げた石器が存在したことが分かる。
局部磨製石斧は石器全体ではなく刃の部分など一部を磨いた石器で、日本列島の旧石器時代の早い段階から見られます。
本文の該当箇所を確認する - 問2
ナイフ形石器は、その名称の通り、切る用途だけに使われた石器である。
ナイフ形石器は切る道具としてだけでなく、槍の穂先として使われた可能性も考えられており、名称だけから用途を一つに決めることはできません。
本文の該当箇所を確認する - 問3
槍先形尖頭器は、旧石器時代後半に槍の先端へ取り付けて狩猟に利用された石器である。
旧石器時代後半には槍先形尖頭器が使われ、槍の先端に取り付けて狩猟に利用されました。
本文の該当箇所を確認する - 問4
細石刃は、一本の小さな石刃をそのまま大きな道具として使うことを特徴とした。
細石刃は、骨や角などでつくった軸の溝に複数をはめ込み、槍などの一部として組み合わせて利用したと考えられています。
本文の該当箇所を確認する - 問5
局部磨製石斧から細石刃までの変化は、日本列島全体で同じ時期に一斉に進んだ。
石器の変化には地域差があり、複数の種類が並行して使われることもありました。全国一律の単純な交替ではありません。
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